口内フローラとは
最近よく耳にするようになった「腸内フローラ」。腸内には細菌が1000種1000兆個以上も生息しており、それらは種類ごとにまとまっています。その姿を顕微鏡で見るとまるで花畑(=flora「フローラ」)のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。
そして、腸と同じように細菌がたくさん生息しているところがあります。それが消化器官の入り口でもある「お口」です。お口の中にも腸内と同じように細菌のまとまりがあり、それを「口内フローラ」と呼びます。
お口の細菌はさまざまな病気の原因になります。代表的なものは「むし歯・歯周病」ですが、それ以外にも細菌が血流に乗ることで全身に広く悪影響を及ぼします。脳卒中・心筋梗塞・糖尿病にはじまり、ひいてはガン・リウマチ・早産まで、一見全く関係のない病気にも実はお口の細菌が関係しています。健康で長生きするためには、しっかりした口腔ケアがもはや必須になっています。
お口の中の細菌は、よく歯を磨く人で1000?2000億個ほど、ほとんど磨かない人だと実に10倍の1兆個以上にもなります。「自分はしっかり磨いている」と思われる方も要注意。実は「歯ブラシ」だけでは歯と歯の間の細菌を除去できず、なんと4割もの磨き残しがあるといわれています。細菌を確実に減らすには「フロス・歯間ブラシ」といった補助用具が必須です。ちなみに、予防先進国と比較すると日本はこれらの使用率がとても低いと言われています。口腔ケアの指導・お手伝いは歯科の大切な役割ですので、いつでもお気兼ねなくご相談ください。
細菌はすべてが「悪」というわけではありません。善玉菌・悪玉菌が存在し、常に縄張り争いをしています。善玉菌が多い状態をキープすることは健康にもプラスです。そこで近年では「ロイテリ菌」といったヒト由来の安全な善玉菌を錠剤などで摂取することで、口内フローラはもちろん、腸内フローラのバランスも良くするという、「善玉菌を活かした健康維持(バクテリアセラピー)」が新しい予防医療技術として注目されています。