私たちがむし歯などの痛みを感じるのは「神経」があるから。だったら二度と痛くならないように、どんどん神経をとってほしい…。もしそう思っているとしたら、それは大きな間違いです!実は歯科では、むし歯になっても「神経だけは」残せるよう、できるだけの努力をします。なぜなら神経には次のような大切な役割があるからです。
むし歯であることを教えてくれる!
冷たいもの・熱いものがしみれば、「あっ、むし歯かも」と気付きますよね。しかし、神経がないと痛みは感じなくなり、当然むし歯にも気付きにくくなります。誤解が多いのですが、神経がないからといって、むし歯にならないわけではありません。つまり、神経がない歯のむし歯は、気付いた頃にはかなり進行していることが多く、抜歯せざるを得ないことも珍しくないのです。
むし歯から歯を守ってくれる
神経は、ただ痛みを感じるだけではなく「防御反応」と呼ばれる、むし歯から歯を守る役割も持っています。神経は、むし歯が一定のところまで到達するとそれ以上の進行を防ごうと壁を作り、むし歯の進行や痛みを抑えてくれます。つまり、もし神経を失ってしまうと、むし歯になっても単に痛みを感じないだけでなく、防御する力も失っているため、その進行も早くなってしまうのです。
栄養補給してくれる
さらに神経は、歯に栄養や酸素も運んでいます。神経を失ってしまえば、当然これらは行き渡らなくなり、次第に歯はもろくなります。やがては、硬いものを噛んだときなど、何かの拍子に割れたり折れたりすることも。また、もろくなるだけでなく、腐敗した神経組織や血液成分が歯に染み込み、見た目にも茶褐色?黒っぽく変色することもあります。
このように、神経は目には見えませんが、いろいろな形で歯を守ってくれるとても大事なものです。神経を抜かなくてはならなくなる原因は、むし歯の進行によるものがほとんど。そうならないためにも、ぜひ歯科医院での定期健診をおすすめします。