歯磨きの前に、歯の表面を爪の先で軽くこすってみてください。
そうしてとれた白いネバネバ、これが「プラーク」です。
「歯垢(しこう)」とも呼ばれ、こちらのほうが馴染み深い方もいらっしゃるかもしれませんね。
このプラーク、ただの食べかすかと思いきや実は大量に繁殖した細菌の塊です。
その数なんと、1mgに10億個!
先ほど爪先にとれたプラークの中には、数10億の細菌が生息していることになります…。
そしてこの細菌が、実はさまざまな病気の原因となっています。
歯と溶かす・・・骨を溶かす・・・
口腔内の細菌が引き起こす病気で代表的なのが、皆さんもご存知の「むし歯」と「歯周病」。
細菌が作り出す酸が歯の表面を溶かすのがむし歯。
歯と歯ぐきの隙間に細菌が入り込み、歯ぐきを炎症させ、
最後には歯を支える骨まで溶かしてしまうのが歯周病です。
お年寄りは要注意
また、この号のドライマウスの解説にもあるように、細菌が誤って肺に入ってしまうと、
「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こすことがあります。
体力のないお年寄りの場合には生死に関わることもありますので、十分な注意が必要です。
細菌が口の血管から全身へ
さらに、歯周病になると歯ぐきが炎症を起こして出血する可能性が非常に高まります。
実は、出血した血管から細菌が入り込むことによって全身に深刻な影響を及ぼすことがあります。
糖尿病の悪化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、早産、低体重児出産など…、
思いもよらない症状と関係しているのです。
細菌が繁殖する前に
「1日3回歯磨きを」とよくいわれます。細菌が繁殖するにはおよそ8時間。
1日3回しっかり磨いていれば、大量に細菌が増えてしまうこともありません。
お口のケアは体全体を守ることにつながりますので、改めてしっかり取り組んでみてはいかがでしょうか?