九州大学などの研究により、「歯周病が認知症を引き起こす仕組み」について解明されたことが、昨年10月にニュースなどで話題となりました。これまでも疫学的な調査等によって「歯周病菌が口から血流に入り込み、脳に影響を及ぼして認知症のリスクを高める」ことが知られていましたが(2倍にもなるという結果も)、今回はその仕組みが解明され、改めてその関係が裏付けられたことになります。
認知症のおよそ半数を占める「アルツハイマー型」の原因は、アミロイドベータと呼ばれるタンパク質が、脳に蓄積することで発症します。今回、マウスを使った実験により、アミロイドベータを脳内に運ぶ「受容体」が歯周病菌によって2倍に増えること、その結果アミロイドベータの蓄積量が10倍になることがわかりました。
今回の実験により、認知症の薬の開発が進むとされています。しかし、今からできることは、歯周病を治療し、さらに左のページにあるように、定期的な来院で「歯周病菌の温床」となっている「歯石」をしっかりとることです。
さらに歯周病は、脳卒中・心臓病・誤嚥えん性肺炎・糖尿病など、さまざまな病気に影響を及ぼすことがわかっています。お口のためだけでなく、健康で長生きをするためにも、定期的なお口のケアはもはや欠かすことのできない習慣です。