日本は世界有数の長寿国です。しかしいくら長生きでも、それが介護が必要だったり、寝たきりの状態だったとしたらどうでしょうか…?
そこで最近重要だと言われているのが「健康寿命」という考え方です。
健康寿命とは、「健康上の問題がなく日常を送れる状態の長さ」をいいます。平成22年の日本人の平均寿命は男性が79.55歳、女性が86.30歳です。しかし、寝たきりや介護を必要として過ごす期間が男性でおよそ9年、女性は13年もあります。つまり『健康寿命』はその分短いのです。
実は、この「健康寿命」にはなんと!残っている歯の本数(=残存歯数)が大きく関係していることがわかってきました。
介護が必要だということは、健康寿命が終わってしまったということ。右のグラフは要介護となった原因の内訳です。実はこの上位5位のうち「認知症」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」は「残っている歯の本数」と深く関わっています。
1.認知症
残存歯や噛み合わせの数が少ない高齢者ほど、脳の記憶や意思・思考をつかさどる部分の容積が減ることが東北大学の研究で判明しています。「噛む」ことは食べるだけでなく、脳に刺激を与えるという重要な役割を担っています。また、意識してしっかり・ゆっくり噛むということも大切です。
2.高齢による衰弱
歯を失い、食べられないものが増えると、これが低栄養、ひいては全身の衰弱につながります。また、奥歯を全て失った高齢者は、全てある方に比べて動脈硬化のリスクが2倍に高まることが最近の厚生労働省研究班の調査でわかりました。血液サラサラ成分が豊富な緑黄色野菜や魚介類が食べにくく、摂取量が減ることが原因ではないかと言われています。
3.骨折・転倒
低栄養は筋肉(筋力)にも影響を及ぼします。また、歯を失い噛み合わせが悪くなると、体全体のバランスも崩れてしまいます。「筋力低下」と「不安定なバランス」は当然、転倒・骨折のリスクが高まります。高齢者が骨折すると、そのまま寝たきりになるケースが多いので、注意が必要です。
『健康寿命』を伸ばすことは、幸せな人生にとってとても大切なことです。お口の健康は体全体、人生全体を左右する大切なもの。私たちと一緒に、一本でも多くの歯を守っていきましょう。