噛み合わせに問題のある人は、これらの症状をいくつか併せ持っていることが多く、不具合の程度や原因は、多種多様で同じタイプの不正咬合は一つとしてありません。
◆審美的に問題となる場合
◇上顎前突(じょうがくぜんとつ)
いわゆる「出っ歯」。日本人に多い。
上の前歯が極端に突き出ててみえる。その他、上のあごの骨自体が飛び出している場合や下の顎が引っ込んでいる。
原因
・舌の押し出し、歯のポジション不正、上唇の筋力不足、口呼吸、上あごの過成長。下あごの劣成長
問題点
・見た目の問題
・噛み合わせが不安定であり前歯で咬むことが難しい
◇反対咬合(はんたいこうごう)
下顎前突とも言う。いわゆる「うけ口」。
下の前歯が上の前歯より前に出ている。
横顔をチェックするとしゃくれたような感じになっていることも多い。
原因
・舌の位置が低すぎる、下あごの過成長、上あごの劣成長
問題点
・奥歯に負担がかかる
・前歯がかみ合わない
◇上下顎前突(じょうげがくせんとつ)
上下の歯が前に突き出ているので、うまく噛めないばかりか、尖った口元ばかり目立ってしまい、唇が自然に閉じないため、見た目も良くない。
原因
・舌の押し出し、上下のあごの位置が前にある、口輪筋の筋力不足
問題点
・奥歯のかみ合わせが低い
・見た目の問題
・口が閉じられない
◇叢生(そうせい)
「八重歯」や「乱ぐい歯」のこと。歯が重なり合って、でこぼこ状態。歯ブラシが隅々まで行き届かないので、虫歯や歯周病の原因になることも。
原因
・スペース不足、アゴの成長不足 歯の幅計が大きすぎる
問題点
・清掃不良
・虫歯
・歯周病
・見た目の問題
◆機能的に問題となる場合
◇開咬(かいこう)
一部の歯(例えば前歯)が開いたまま噛み合わず麺類などが噛み切れないような状態。無意識のうちに口をあけてしまっていることもある。
原因
・舌を間に入れてしまう(無意識、食事中)、指しゃぶり
問題点
・奥歯に負担がかかる
・咬合力不足
◇交叉咬合(こうさこうごう)
前歯の前後的位置が1本、または数本逆のかみ合わせを呈する。
原因
・悪習癖(うつぶせ、横寝、ほおづえ)
・歯の交換期障害
・歯の萌出位置の問題
問題点
・部分的に交叉したかみ合わせのため同部位の歯茎の裂傷がおこりやすい
・顔面が非対称になることも。ひどい場合は物を強く噛んだり、歯を食いしばったりすることができない
・顎に痛みとして症状がでやすい
・歯に負担がかかりやすい
◇過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に必要以上にかぶさっている状態。深く咬み込んでしまうため、歯の接触がきつく歯をすり減らしてしまうことが多い。
原因
・異常な力の歯ぎしり、上下顎の成長のズレ
問題点
・奥歯の高さが低くなり、治療が困難
・下の前歯が突き上げて上の前歯に負担がかかる
矯正治療とは、これらの不正咬合を正しい噛み合わせにする治療方法です。ただし永久歯の場合、あごの発育も終わっているため、あごの大きさと位置を変えることはできません。そのため、あごに合わせて歯を並べる方法をとりますが、歯の並び方の方が大きかったり、
不調和が著しい場合には、抜歯や外科的手術が必要な場合があります。