むし歯治療といえば、現代でも「痛くてやだな…」と思う方が多いかと思います。
でも、ちょっと想像してみてください。
歯を削る器械や麻酔がなかった時代には、いったいどんなふうに治療をしていたのか…。
想像するだけで痛くなる・・・
実は、歯は鉄より硬く、簡単には削れません。医師が現在のように削れるようになったのはここ50年ほど。
それまで、むし歯はドリルなどでえぐり取るしかなかったのですが、苦痛が大きい割に治癒率が低い。
そのため「痛みがでたら抜歯」が基本でした。
とはいえ、麻酔を使うようになったのがわずか150年前のこと。
それまでは麻酔なしでの抜歯。
その痛みは想像を絶するもので、まさに「拷問」でした。
(ちなみに、麻酔を初めて使ったのは歯科治療です!)
そこで「いかに早く抜くか」が求められ、14世紀には通称「ペリカン」と呼ばれる器具が出現。
その後「歯鍵(しけん)(Tooth Key)」に代わり、やがて今も使われる「鉗子(かんし)」へと発展していきます。
歯科治療における画期的発明!
そして1960年代。ついに自在に歯が削れる画期的器械が登場。
それが「エアタービン」です。
「エアタービン」とは風の力で歯を削るための器具(バー)を高速回転させるもの。
なんと1分間に30万回以上も回転します。
歯科でよく聞く「キュイーン」という音は、まさにこのエアタービンの音。
不快な方もいるかもしれませんが、
この器械のお陰で患者さんの治療の負担を大きく減らすことに成功したのです。
進化したのは治療だけじゃない!!
現代の歯科治療では、歯を抜かないだけでなく、
削る量も最小限にするよう、さまざまな技術や治療器具が開発されています。
とはいえ、一番幸せなのは、そもそも『むし歯にならないこと』にほかなりません。
今は治療だけでなく「予防」もかなり発達しています。
昔の人なら誰もがうらやむような、確実に自分の歯を守れるすばらしい時代です。
ぜひ皆さんには、歯で苦労することなく、
いつまでも豊かな食生活を送っていただきたいと願っています。